これは微妙な時期に転校して来た女の子と、先輩の物語
女の子と先輩は校舎裏の清掃係として絆を育んでいった
だが先輩は遠い所へ行ってしまうという
そこで女の子は最後の別れの挨拶をすまそうと、先輩を校舎裏に呼び出した
先輩との最後の一時に、女の子は喪失感で胸を一杯にしてしまい
先輩の前で目に涙を浮かべ、泣き出してしまう
すると先輩は女の子の頭に手をやり、優しくなでて
彼が手にしていた小説の一節を読み始める
――会ったことも、話したこともない人
――そんな人を愛することの何が悪いのか
女の子は先輩の言葉に呆然とし、どこか残念な気持ちになる
私達の最後のお別れはこれでいいのか、肩透かしもいい所だと
すると女の子の反応を見ていた先輩は不意に微笑み、再度先ほどの一節を口ずさむ
――愛することの何が悪いのか